地域の水球について


 豪州は水球がとても普及している国です。その原因の一つがプール環境にあると感じられました。豪州は比較的温暖な気候にあるため、屋外プールがほとんどですが、50mのメインプールに加えて水球のフィールドが取れる深いプールを多くのプールで見ることができます。子供たちは水球選手に限らず、巻き足が完全にできなくても深いプールで浮くことができます。このプールをその地域の水球の拠点として、平日は夕方から、土日は1日中試合が行われています。

 これらの試合は、男女ともジュニアからシニアまで幅広い年齢層において行われているのが特徴です。また各年齢層で2〜3のグレード別に分けた試合が行われています。グレードの低いレベルになるとルールもよくわからないという選手も見られます。

 日本と違い学校別のチームではないので、練習時間もあまり取れないし、試合前は5分ぐらいしかアップ時間はないので、試合中心に水球は行われています。その代わり、公営のプールを利用したクラブチームなので、子供から大人まで本当に多くの人が水球のゲームを楽しんでいます。

 試合は、フィールドもオフィシャルも正式でないことが多いのですが、きちんと日程が組まれていて記録がつけられています。仕事後でも十分参加できる地域単位で行われているので、夏場は3ヶ月にも及ぶ長い期間にわたって地域毎にリーグ戦が行われています。そしてグレード毎の順位が決定するようになっています。冬場にも規模は縮小されますが、試合は行われています。

 試合の運営は、各チームから審判やオフィシャルを数名ずつ供給し、交代で行われています。ジュニア女子のリーグなどでは、選手の母親もオフィシャルボックスに見られます。オフィシャルは競技レベルに関わらず、小人数で行われていて、記録と機械操作の2〜3人というのがほとんどでした。日本でも幅広い年齢層での水球リーグを実現したいものです。(以上スイマガ掲載)

クィーンズランド州・ヌーサの水球

 ブリスベンの北100キロぐらいのところに、サンシャインコーストというリゾート地があり、そこにヌーサという市があります。そこで毎週水曜夜に水球の試合があり参加しました。
 この水球の試合は、ヌーサ近郊のプレーヤーが参加して行われているようですが、自分みたいに新聞広告を見て参加している人もいます。最初は見に行く予定でしたが、結局参加することになりました。
 18時半から女子、19時15分からBグレード、20時からAグレードという具合に開始時間は予定されていますが、固定のチームはなく、集まった人たちでチームを分け試合が開始されます。当然、日によって人数に差があり、女子で足りないときは男子が入ったり、Bグレードの選手でも物足りなければ、Aグレードに参加したりしてます。
 プール自体は水深も深く、立派な50mプールなのですが、フィールドは25mで横は女子の時が5コース分で、男子になると少しづつ広がっていきます。時間は7分通しで4ピリオド行われます。
 年齢層は、Aグレードで18歳から50歳ぐらいまでの選手がいるでしょうか。レベル的には、きっとベストメンバーが集まれば、関東大学2部中位くらいの実力でしょう。
 滞在中の12月上旬にハンガリーのマスターズチームが来て、親善試合をやりました。オーストラリアをツアー(観光)しているらしいです。親善試合ですから、そんなにハードな試合ではありませんでしたが、6ピリオドでハンガリーが、17対10で勝ちました。

ブリスベンの地域リーグ

 ブリスベンの水球リーグには4チームが参加しています。リーグにはAからCグレードまでの試合があり、どのチームもそれぞれのグレードの試合にチームを出しています。男女それぞれ3つグレードがあるので、1チームが計6つのチームを出していることになります。計200人ぐらいがこのリーグに参加しているのではと思います。
 男子のナショナルリーグにBrisbane Barracudasとして参加するチームは、これらの混合チームです。
 年齢層は、中高校生ぐらいから50歳ぐらいまでと幅広いようです。女子に関しては、中年層は見当たらず、男子のAグレードもさすがに20歳台ぐらいが多そうでした。
 1チームの人数は7〜10人なので充分に出場の機会があり、またレベル別なので中年層は楽しめ、若年層はレベルアップにいいと思いました。
 期間は10月からクリスマス中断を挟み、4月まで計20ラウンドの予選、その後セミファイナル、ファイナルと続きます。

 試合は、月曜と火曜の夜に4つのプールのうちどこかで行われます。見に行った1会場は、50mプールに2面フィールドを作って男女同時進行でした。男子のAグレードに関しては30mで行うこともあるようです。
 運営はかなりラフで、ゴールジャッジはおらず、サイドのロープがなく、控え選手も水に入ったままという具合です。しかし7分計や35秒計はプールに設置してあったり、1人ですべて操作できる優れものの操作盤があり、オフィシャルはその他記録と2人で運営しています。審判は原則2人制です(決してうまいとは言えません)。
 試合の内容は、男子のAグレードで関東の大学リーグの上位レベルかと思いました。しかし、あまりシステマティックなオフェンス、ディフェンスではなく、イージーパスやシュートもみられました。しかしCグレードからすべてよく泳ぐし、ドライブやカットイン、シュートは思いきりの良さが見られました。
 日本にもこのようなシニアの選手が水球できる場を、もっと増やしていかなければと感じました。それも水球界を盛り上げて、強化につながるひとつになるのではないかと思いました。

ブリスベンの女子Jr.水球リーグ

<会場および開催日>
 Valley Poolにて毎週土曜日の朝8時から夕方5時まで行われている。男子Jrは他会場らしい。
<期間>
 開始時期は不明だが、12月4日で一区切り。また1月後半か2月に後半戦が開始されるそうだ。
<参加チーム>
 今シーズンには56チームの申し込みがあった。13〜18歳の各年齢区分別に試合が行われており、必要な年齢区分にはBグレードを設け、選手の出場機会を増やしている。
 1チームの人数は様々で、13人フルのところもあった。
 参加チームには、地域リーグに参加しているチームもあれば、学校のチームもある。
<審判及び競技役員>
 審判は各チームから供給するようになっている。競技役員も同じである。1または2審判制で、ゴールジャッジはなし。オフィシャルは2〜3人で、母親も含まれていると思われる。1人が機械操作、1人が記録。服装などに規定はなし。
 ジャッジは、すべてがうまいとは言えないが、細かいファウルは取らない。少々のアタックでは笛はならないが、アンダーウォーターになったときなどBグレードでもすぐに取る。
<フィールド及び設備>
 50mプールを半分に仕切り、2面同時並行。ゴールは奥行きの余りない、壁密着型を使用していた。サイド、ゴールラインはなし。得点板は西オーストラリア制のもの(地域リーグと同じ)を利用していた。


<試合の運営方法について>
 競技が8時から17時まで続くためか、遅延しないように時間のコントロールは、すべて放送席から行っていた。開始時間を告げ、オフィシャルがタイマーを始動するが、こちらの方は大体の時間を表示。
 1ゲーム45分で、2面同時進行。両サイドに選手が整列しなくてもスタートさせている。
<その他気づいた点>
* マウスピース利用者が半数以上いた。
* 観客は、親などを中心にスタンドに常時30人ぐらいいた。
* 試合の雰囲気は、キャーキャー声が上がるような楽しい雰囲気。
* 選手が主役で、コーチが怒鳴っている声が聞こえない。
* コーチは、若いのから白髪の人まで様々。3人ぐらいベンチにいるチームもある。
* 入場料は1ドルであった。
* ここでもピリオド開始は2mラインから。
* 特に女子のキーパーはコーナーに打たれると届かないので、それを狙ってよくシュートを打っている。
* 友好的な試合の雰囲気だが、長期間に渡るリーグ戦形式を取っている。
* ゲームが終わると、バスタオルを身体に巻き、裸足で迎えにきた親の車まで歩いていく彼女たちだった。


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